木村峻郎弁護士が厳選!重要判例100選:

木村峻郎弁護士が厳選!重要判例100選(法律学習用)税理士の先生方向けセミナー「所得税法62条2項の適用に関する判例」(判例査察-3より)

木村 峻郎 先生が厳選!-重要判例100選!-税理士の先生方向けセミナー(判例査察-3より)
法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察③』税理士会セミナー
アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

「第5 弁護士からみた税理士の誤解が生じやすい事例 ①」

(1)所得税法64条2項の適用に関する判例

【認めなかった判例】
【その1】土地を譲渡し、その代金を債務保証をした会社に提供したことにつき、当該譲渡は保証債務の履行のためのものとは認められないとした判例

【事案】
請求人は、イ)自己が代表取締役となっている会社の借入金等につき債務保証をしていたところ、同社の業績が悪化し、借入金等の返済が困難となったので、ロ)同人所有の土地を譲渡し、その代金のほとんどを同社に提供し、同社はその資金で債務の弁済に充てたものであるから、これは実質的に保証債務を履行するための譲渡に該当すると主張した。

【判旨】
イ)弁済は期限前に行われており、②債権者から請求人に保証債務の履行の請求はなく、債権者は請求人から返済を受けたという認識がないので、ロ)請求人は譲渡代金を同社に単に貸し付けたにすぎず、本件譲渡は、保証債務の履行のための資産の譲渡とは認められない。

【留意すべきポイント】
所得税法64条2項による非課税の取扱いを受けるためには、保証人が自己の所有する資産を譲渡して保証債務を弁済する旨を債権者や被保証人に対し書面等により通知を事前にしておくこと。

以上

【その2】
イ)保証債務の履行をC銀行からの借入れで行い、
ロ)その後D銀行から借入れを行ってC銀行に対する借入金を返済した上、
ハ)本件資産を譲渡し、その代金でD銀行に対する借入金を返済した場合には所得税法第64条第2項の適用がないとした判例

【判旨】
1.所得税法第64条第2項の規定が適用されるためには、資産の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係が必要であるというべきであって、保証債務の履行と資産の譲渡とが、たまたま時期を同じくして行われたとしても、保証債務の履行が保証人の譲渡代金以外の資金、信用によって行われたときは、同条項の適用がないものと解すべきである。
2.ただ、保証債務の履行を求められたため、やむを得ず譲渡代金を受領するまでのつなぎ資金として、一時的に借入金でその保証債務を履行しておき、その後短期間のうちに資産を譲渡して、その譲渡代金をもって遅滞なくその借入金を返済するなど、資産の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係があると認められる場合にも同条項の適用があるものと解する。
3.本件については、分割受領した譲渡代金の流れ等からみて、資産を譲渡した後に借り入れた資金は本件土地の譲渡代金を受領するまでの一時的なつなぎ資金であるとは認められず、土地の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係があるとは認められないから、所得税法第64条第2項の適用はない。

【留意すべきポイント】
資産譲渡と保証債務の履行とが時期的に近接し、且つ、資産譲渡によって保証債務を履行することを書面にて債権者に通知しておくこと。

平成23年9月15日
(注)上記日付の法令に基づいて作成されております。
於 東京税理士会 ●●支部

以上

(PDF)木村峻郎弁護士税理士会向けH291108-1
木村峻郎弁護士税理士会セミナーより291108-1(PDF)

木村 峻郎 弁護士が厳選!重要判例100選-税理士会セミナー講義レジェメより

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