木村峻郎弁護士が厳選!重要判例100選:

木村峻郎弁護士が厳選!重要判例100選(法律学習用)税理士の先生方向けセミナー「税理士の責任が肯定された例、否定された例」(判例査察-2)

木村 峻郎 先生が厳選!-重要判例100選!-税理士の先生方向けセミナー(判例査察より)その2
法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)
テーマ-税理士の先生方向けセミナー(判例査察-2)より

平成23年9月15日
(注)上記日付の法令に基づいて、作成しております。
於 東京税理士会●●支部

『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察②』

第4 税理士の損害賠償責任に関する判例~その2

【税理士の責任が肯定された例】

❷[説明義務違反]
税理士の納税者に対する説明は、「基本通達に反する確定申告をしても、その主張が認められる」という印象を与えるものであり、「更生された本税以外に過少申告加算税、延滞税も支払わなければならない事態となる恐れがある」ことの説明が十分でなかったというのであるから、債務不履行責任を免れるものではないとされた事例。
(平成10年3月13日 大阪高等裁判所判決)

❸[委任契約の不完全履行]
 

[税務相談を内容とする委任契約に、不完全履行があったとされた事例]
「X及びB社(共に代表者は、A)は、税理士Yとの間で税務顧問契約を締結し、Aは、XのB社に対する貸金債権を貸倒損失として損金処理し、これとX所有の不動産の売却によって生ずる売却益とを相殺勘定することが許されるかどうか、Xを解散し、株主たる地位に基づき有利な残余財産の分配を受けたい旨の税務相談をしたところ、Yは、所轄署と話し合いがつき昭和62年にXを解散した場合には、その申告で欠損金を損金算入し、利益控除に利用できることとなったから、買換資産の買収を中止し、直ちにXを解散してもよいとの教示をしているところ、本来、このような法人税等の節税目的を実現する為には、62年に買換特例の適用を受けてその差益を63年まで繰延べ、且つ同年の確定申告上、売買差益から61年欠損金を控除しなければならなかったもので、Yの職歴、税理士資格・経験に鑑みると、Yには法人税法及び措置法の法意を十分理解しておくべき職務上の義務があったと言うべく、前記Yの教示は、適正な税務処理に照らし、客観的に誤りがあったと言うことができること、従って、Yは、税務相談を内容とする契約に基づき、Xに対し適正な教示ないしは税務指導をなすべき債務を負担しているにもかかわらず、誤った教示を行ったという不完全な履行をしたものと言わなければならない。」
(平成5年11月24日 神戸地方裁判所判決)

❹[過年度ワラント債売却損につき嘆願書を提出すべき義務] 
「ワラント債の売却損の認定及びそれに伴う税額の更正の決定は比較的容易であって、その認定判断はそれほど時日を要するものではないことが認められるから、税理士がクライアントに対し説明し、証券会社に照会させるなどして早急に資料を整えたうえ、税務当局に嘆願書を提出するなど、所要の措置を講じていれば税務当局が期限までに更正の決定をすることが不可能ではなかったので、顧問契約上の義務違反がある。」
(平成15年2月27日 東京高等裁判所判決)

 
【税理士の責任が否定された例】

[経理担当者の横領による損害と顧問税理士の責任]

1.受任の内容
顧問先が作成した総勘定元帳の記載をもとに、決算書作成や申告、税務代理までを業務内容とする顧問契約

2.税理士の善管注意義務の範囲
 前記業務内容を遂行するに必要な範囲に限られる。従って、総勘定元帳の記載から勘定科目の仕訳の適否に関する判断を超え、従業員が横領のために行った虚偽の記載につき、税理士が取引の実在を疑わせるような異常性を認識し、その存否を確認するために伝票や証憑を精査したりすることまでの義務はない。
(平成17年4月12日 福岡高等裁判所判決)

以上

木村峻郎弁護士作成税理士会セミナーH291107-2

木村 峻郎 先生が厳選!-重要判例100選!-税理士の先生方向けセミナー(判例査察より)
法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

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